何のために生きているのか分からない・・・そんな人は実に多いのだろうと思います。
自分にある才能って何だろう?
それがすぐに分かれば何の苦労もないのでしょうが、才能というものは一夜にしてなるものではなく、ワインを長い年月熟成させるが如く、ゆっくり育んでいくものなのでしょう。
今日ご紹介するのはポール・ポッツさんです。
彼はイギリスのオペラ歌手ですが、2007年のオーディション番組ブリテンズ・ゴット・タレントに出場するまでは携帯電話のセールスマンをしており全くの無名の人でした。
ポールさんは幼少の頃からオペラ歌手に憧れていましたが、オペラ歌手は歌唱力はもとよりその容姿も重要視されるもの、ポールさんは冴えない容姿でいじめの対象にもなっていましたから子供の頃から自分に自信を持つことができませんでした。
しかし、いじめなどの辛い現実を忘れさせてくれるのは歌うことだけ、ポールさんはオペラ歌手になる夢を諦めつつも歌うことだけは続けてきました。
数々の職を点々としてきたポールさんですが、スーパーマーケットの店員の時期が長かったようです。
経済的にも恵まれない状況の中、ボイストレーニングの練習を続けてきました。
しかし、そんな中交通事故に遭遇し、長期の入院を余儀なくされ失職。
ついには授業料さえ払えなくなりポールさんは歌うことを断念しました。
そんなポールさんを支えたのが妻のジュリー・アンさんで、彼女は働けないポールさんに代わり家計を支えました。
ある日、ポールさんはイギリスで有名なオーディション番組ブリテンズ・ゴット・タレントの出場者募集記事を目にします。
歌うことは4年間していなかったのですが、歌への情熱は抑えきれず妻に内緒で応募をしました。
この番組は3名の激辛審査員がおり、オーディション出場者を嘲笑するような制作をしているそうです。
ポールさんも応募したは良いものの、予選でいざ出番が回ってくると昔から自信が持てなかった自分が出てきて泣き出しそうな顔になっています。
2,000名の観衆も誰も期待していない、審査員もポールさんのヨレヨレのスーツをまとった風貌だけで既に見下したような態度をとっていました。
しかし、曲の前奏が始まりポールさんが歌いだすとポールさんにはまるで神が彼に降りたかのような力がみなぎりNussunDormaを歌い上げました。
ほどんど一瞬の間に観衆はその力に打たれ、拍手、総立ち!
(このシーンは鳥肌ものでまるで映画のクライマックスを見ているかのようです!)
人は一瞬にしてここまでかわるものかと思わずにいられません。
私はオペラのオの字も知りません、会場にいた人もほとんどがそうでしょう。
Youtubeでこれだけの迫力であれば目の前で聞いた歌はどれ程のものでしょうか。
歌の力というものはまさに驚愕の一言です、魂を揺さぶるというのはこのようなことをいうのでしょう。
ポールさんは予選から順調に勝ち上がり見事優勝を果たしました。
〔ファーストアルバム「OneChance」に収められた決勝戦の様子、「Winner is PoulPotts!!」とアナウンスされるシーンは感動。〕
その後の彼の活躍は知っている人も多いかもしれませんが、超売れっ子の歌手として世界中を飛び回る毎日を送っています。
ファーストアルバム「OneChance」は世界中で300万枚を超えるセールス、今年6月には日本にも来日しました。
ポールさんは私達に可能性を信じる力というものを教えてくれました。
私達は自分を信じることができない無力な存在です。
しかし、ポールさんのように自分が好きなこと、打ち込めることを継続していくことでやがてそれが花開く日が訪れるのだろうと確信します。
また歌というものにはその人の全人格、魂が反映されるものだと素人ながらに思います。
その意味ではポールさんが幼少の頃からいじめを受けたり、職に恵まれなかったり、怪我をしたり、経済的な苦難を経験したりしたことは彼にとっての肥やしとなり、聞く人を鼓舞する歌い手に成長させたことでしょう。
苦境の最中にいるとあたかも出口が見えないトンネルにいるかのように思えてしまいますが、やがてそこから抜けて一段上から人生を見渡した時に、あの時の経験があるからこそ今の自分があると思える日がやってくると思います。
私も仕事で精神的に疲れた時には、ポールさんに力をもらいます。
媒体を通じて間接的に聞いてこの感動ですから、直接聞いたら私は泣き崩れてしまうかもしれません。
神の愛は非常にパワフルなものですが、彼の歌には同じものを感じます。
私の好きな歌「青い影」をご紹介します。
日本のテレビ番組に出場した時のものです。
良かったら聞いて下さい。
ポール・ポッツ 青い影 ~CenzaLuce~
【2009年10月9日】